メンタルの治療に時間がかかることについて
今日はいつもと違う日になった。
どのくらいいつもと違うかというと、そうだな、この数ヶ月に一度あるかどうかくらいかもしれない。もしくは、今はまだその重要性が理解できていないだけで、もっと稀な日だったのかもしれない。
出来事は今のところふたつあったのだけど、一つ目のことを綴ります。
この半年というもの、きちんと眠ることが難しくなっていた。
最初は寝付きが悪いかなくらいで、そこまで困っていなかったと思う。30分たっても寝れなくて、まあいいかと思いつつ布団の中で極限まで画面を暗くしたスマホをいじっていて、疲れたら眠っていた。当時はマイスリーを処方されていた。超短時間型の睡眠導入剤で、メジャーなやつ。
それから数ヶ月後に6年間ほど親密な関係でいたパートナーが自死した。ショックは大きかった。ストレス強度を点数化した表でいうと、配偶者の死というのは堂々の一位というのを見たことがある。正確には配偶者じゃないけどさ。そのことがきっかけで抑うつと睡眠の状態が悪化した。調子にもよるがなかなか入眠ができない。中途覚醒することが週に半分くらいだったか。慢性的な睡眠不足で眠いのに、昼寝をしたくても寝付けず目をつむって横になるだけということもしていた。薬が変わって、ブロチゾラムという短時間型の睡眠導入剤になった。
それから療養という名の実家ニート暮らしをしている。実家暮らしにも慣れ、パートナーの死に関することも落ち着いてくると、徐々に生活にハリが無くなっていった。将来も、夢も、やりたいことも、支え合ってきた相手も、これら生きがいと呼べるものの多くを失った。感情がうすい。生き生きとした喜びや幸福感、達成感、そして悲しみや不安さえ感じにくくなっている。
パートナーの死から1週間ほど経った頃から、一切泣けなくなってしまっていた。
そうして体調や意欲の影響で日中の活動ができなくなってゆき、昼間も横になることが多くなった。昼間寝てたら当然夜は眠りにくくなる。いつしか毎日中途覚醒するようになっていた。朝もすっきりせず、なんだかぼんやりとしている。眠りの質が悪いまま気づいたら4ヶ月くらい経っていた。だんだんと眠りにつくまでの時間や中途覚醒したときの時間がつらくなってきていた。眠れないのにだるくて苦しくて、それでも為す術のない時間に耐えるしかない。死にたいとまで思わないけれど、例えるなら二階から落ちたいって言ってた日もあった。
いろいろと細かい試行錯誤を経ても睡眠の質が良くならないことを受けて、最近になってようやく睡眠導入剤が変更された。中時間型のベンゾジアゼピン系睡眠薬で、名前はまだ覚えてないや。
それで今朝、とても久しぶりに中途覚醒も疲労感なく朝を迎えることができました。
健康な人にとってはあたりまえの「横になって気づいたら朝になっていた」というのがどんなに素晴らしいことか。霧が晴れたようなよろこびで包まれてた。今日はすごい日だ。眠れたんだもの....!
慢性に経過をたどる精神疾患は良くなっている、悪くなっているというような実感が得られにくい。だからこそつらく感じる部分がありますよね(参考:慢性はつらい話)。月単位の時間を過ごしてみてようやく何かわかったり、わからなかったりする。うつの薬もひと月かけて徐々に量を増やしていって、もうひと月で効果を判断して、「ああ、効いてなさそうだね。違うのにしよっか。」それで次を試すのにさらに月単位の時間がかかるなんてザラにある。
これまでのわたしの療養期間は何のためにあったのか。何もできない日々をやり過ごすためにこれだけの時間を捨ててしまうようなことが、精神科のスタンダードなのだろうか。患者のつらさや心の動きや体験は日々起こっている。もっと丁寧に患者を観察して、治療のための濃厚な時間を過ごすことはできないんだろうか。(もちろん、私自身が生きがいを失っていて日常に意味を見いだせないためにこういう思いが強いのだとは思っている)
症状が大きくは変化しない時間が長い分、久しぶりのすっきりした目覚めはとても爽快だった。
こんなふうに症状が改善する実感がえられるような体験があることで前向きになれる。
今日の体験はわたしにとって重要なものでした。
パートナーが自死したとき、手記や状況証拠から推察するに急な精神状態・身体症状の変化が起こっていた。急というのは数時間か、長くとも2,3日のうちの出来事である。
自死は精神科でいう病死であってもっとも深刻な結末であり、しかも予測することが困難である。
そんな出来事が急性に進行するのに、治療が1,2週間からひと月おきというのは、あまりに呑気で残酷な話ではないだろうか。即効性のある効果的な治療法が無いからなのだろうか。それとも、病気の根本的な治療と本人に寄り添った支援は別物だとでもいうのだろうか...
精神的な問題を解決するためには長い時間がかかるのだと自分に言い聞かせながらも、そこに激しい違和感と疑念を持っています。
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